「 首相よ、心の闘いの衣を整えよ 」
『週刊新潮』 '05年10月27日号
日本ルネッサンス 第187回
10月17日、靖国神社の秋の例大祭に小泉純一郎首相が参拝した。批判されるべき理由もない首相参拝に対し、奇妙な非難が沸き立っている。
王毅駐日中国大使は、17日は中国の有人宇宙船神舟6号が無事帰還を果たした日であるとして、同日の参拝は「中国の国民に対する重大な挑戦」で「小泉総理大臣は中日関係を損ねたという歴史的責任を負わなければならない」との声明を発表した。だが、靖国神社と戦没者遺族会にとって最重要の秋の例大祭の日に首相が参拝し、その日が偶然、神舟帰還の日にぶつかったにすぎず、声明は言いがかりに近い。
中韓両国の反発のみならず、日本国内でも一斉に非難の声があがった。18日各紙の社説は「中韓の反発が国益なのか」(『毎日』)、「これが『適切に判断』した結果なのか」(『日経』)、「負の遺産が残った」(『朝日』)などの見出しが並び、各社は署名入りのコラムでも首相参拝を非難した。
『日経』では田勢康弘氏が首相の参拝は憲法20条3項に抵触の疑いありと指摘、『朝日』では本田優氏が、首相参拝は「東アジアを不信と緊張の『負の螺旋』に陥れかねない」、それを止めるのは「日本の責任」と結論づけた。17日夜のテレビ報道では、元外務官僚の岡本行夫氏らが筑紫哲也氏の番組で沈痛な表情で日中関係の悪化を嘆いた。岡本氏はこれで“悪い材料は出尽くした”と述べ、首相参拝を“悪い材料”とする立場で語った。
この一連の奇妙な反応こそが日中関係を悪化させ、こじらせていく。参拝で日中関係が損なわれるというが、真に損ねているのは中国ではないのか。直近の事例は、中国の責任こそ極めて大きいことを示している。今年4~5月の反日暴動で日本大使館、総領事館、日本企業に加えた破壊行為について、今日に至るまで中国政府は謝罪していない。昨年の領海侵犯も同様だ。東シナ海の天然ガス・油田は、日本の中止要請を無視して、いまこの瞬間も開発されており、日本の資源が吸いとられるのは時間の問題だ。さらに中国各地に歴史記念館を建て、反日教育を続行中であるのは周知のとおりだ。
日本の「死者の文化」とは
岡本氏は首相の参拝が「現在も軍国主義DNAを持つ日本」の象徴として中韓両国に受けとめられていると憂慮する(『産経』18日)が、戦後の日中両国の歩みを検証したうえで発言しているのか。
戦後60年間、日本は一度も軍事力をもって他国に脅威を及ぼしたり攻め入ったことはない。他方、中国はまさに軍国主義の道を歩んできた。1949年の建国直後にチベットに軍事侵攻し中国領とした。50年から4年間、朝鮮戦争で北朝鮮と共に韓国を侵攻した。54年から55年まで台湾海峡で阡」介石の国民党軍と戦った。59年、僧侶たちに大弾圧を加えチベット動乱を引きおこした。62年にはインドと、69年にはソ連と、国境を争って戦った。70年代にはベトナムと戦って西沙諸島を取り、79年にはベトナムを“懲罰”するといって侵攻した。80年代には南沙諸島を軍事力で脅かし、95年には南沙諸島のフィリピン領有の島を占拠し、軍事施設を構築した。そして現在も、東シナ海には中国海軍の軍艦が遊弋する。
こうしてみると、“軍国主義のDNA”は中国にこそ顕在する。この点の指摘なしに日本のみを軍国主義といって責めるのは公正さを欠く。その後ろ向きの議論こそが、日中関係を蝕む。
靖国神社は日本人の心、文明の問題である。柳田國男氏は、日本人の宗教観の根底には、死者の肉体は滅びても、霊魂は日本の国土の周囲にとどまり子孫や生者を見守っているとの考えがあると指摘した。江藤淳氏は日本文明の柱を「死者の文化」と表現し、「日本人は生者のことだけを考えていい民族ではない」と書き残した。
事実、日本人は死者との対話のなかで暮らしてきた民族だ。だからこそ、私たちは命日にはお墓に詣で、お盆には迎え火で精霊となった愛する人々、ゆかりの深い人々の魂を迎え、対話し、送り火で送り出し、次の年のお盆までの別れとなしてきた。幽明漠とした、生死の境も定かならぬ次元での生者と死者の対話を大切にしてきたのがこの国の文明である。
日本のために戦い、若くして子孫も残さずに亡くなった霊は、当初は親兄弟に弔ってもらっても、時間の経過のなかで、やがては忘れられていく。彼らの魂を慰めるため、いかに時が移っても忘れられる心配のない地を、日本人は創り出した。それが民間の有志が全国各地に建てた招魂社であり、各地の招魂社を統合して生れた靖国神社である。
中国が問題とする“A級戦犯”はすでに命を差し出し、自らに突きつけられた“責任や罪”を背負った。日本の国会は、黙って耐えた彼らを“犯罪者ではない”と全会一致で定めた。靖国と“A級戦犯”の問題は、小泉首相が繰り返すように、もはや心の問題なのだ。
歴史の大潮流を見据えて
少なからぬ論者が、靖国参拝による日中関係悪化の打開策を考えるのは日本の責任だと主張する。彼らとは正反対の理由であるが、日本こそが活路を開くべきだという点については、私も同意する。そのためには、靖国も満州事変も、大きな歴史の流れのなかで論ずることだ。満州事変や南京事件がどのような大潮流のなかで生じたかをこそ、見るべきだ。
ペリーの力ずくの砲艦外交の前に開国した日本は、急速に力をつけ明治37(1904)年の日露戦争に勝利する。米国大統領、セオドア・ルーズベルトはバルチック艦隊の敗北の原因を研究させ、将来の日本との対立に向けて準備を進める。米政府は、1907年には日本打倒の戦略、「オレンジ・プラン」を作成、21年のワシントン海軍軍縮会議では日英同盟を破棄させた。米国が日本と戦う場合、強大な英国と日本が同盟関係にあってはまずいからだ。加えて米国は日本人を黄禍として激しく排除した。この延長線上に日本が絶対に呑むことの出来ない内容と言われた事実上の最後通牒、ハル・ノートと日米開戦がある。
日本に戦争回避は恐らく出来なかっただろう。日本は出来る限りの努力をした。個々の場面では確かに間違いもあっただろう。しかし、歴史の大潮流を把握すれば、日本だけが一方的に悪いとする見方は余りに底が浅い。だからこそ、歴史を長期、広範に見詰め、従来の見方を変えていくことだ。その努力が、日中関係に活路を開くのであり、それこそが日本の責任である。
小泉首相の参拝を、私は支持するが、いかにも気軽なその参拝方式には反対だ。各国注視のなかでの参拝は、日本文明に基いて、歴史をわきまえ国益を代表する機会である。日本が日本らしく在るための戦いには、作法も身仕舞も整えて臨むのがよい。
無知につけ込む衆愚政治と小泉批判した輩はどこ行った!
何か読売までバカなことを言い出したぞ?
◆[女性天皇]「有識者会議の結論を尊重したい」
将来にわたり安定的に皇位を継承し、皇室制度を維持していくた…
トラックバック by バビロン7の東奔西走狂詩曲 — 2005年10月28日 11:49
闘うべき相手
闘う相手が本当に国家権力の中枢だったりして大変です。
こんな言葉のひとつひとつをここに綴ることをもって闘いなどと呼ぶことはできないのかもしれませんが、国家…
トラックバック by 北京でライフォ(≠2nd)! — 2005年10月28日 13:16
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靖国激論、櫻井VS加藤
<FONT SIZE=5 COLOR=BLUE>靖国激論!櫻井よしこ VS 加藤紘一</FONT>
<FONT SIZE=3 C…
トラックバック by 反日勢力を斬る — 2005年10月28日 13:51
★ 靖国神社/国立追悼施設はなぜダメか? 高橋哲哉 『国家と犠…
小泉純一郎首相、靖国神社参拝の是非で明け暮れた、昨日今日。不断の「脱軍事化」へ向けた努力がないと、国立追悼施設は「第2の靖国」になるだけだ!そう主張して、各地で…
トラックバック by 書評日記 パペッティア通信 — 2005年10月28日 17:39
安い国ではない、靖国だ・・・。英霊を取引で売り飛ばすな!
危険な方向にドンドン向かって行く日本。 英霊を慰める事さえ外国に干渉され、その外圧を利用して、靖国の意味も、日本の戦った意味をも貶めようとする。 そんな悪辣な動…
トラックバック by 三輪のレッドアラート! — 2005年10月28日 21:38
小泉首相、靖国参拝!続/朝日新聞社説
小泉首相の靖国参拝問題について、10/18付、朝日新聞社説を見ました。
頭が悪いのか理解に苦しみます。
◆「日本外交の大きな視点から参拝を見送るべきだった。」…
トラックバック by 閑話ノート — 2005年10月28日 21:38
靖国に行って何が悪い
今月17日小泉首相は靖国に参拝したわけだが、
相変わらず靖国参拝の問題が物議をかもしている。
「アジア各国から批判されているのだから参拝を自粛するべきだ…
トラックバック by 砂糖のススメ — 2005年10月28日 22:38
君を忘れない
最近また靖国問題が取沙汰されている
完全に日本のマスゴミだけが固執している形だ
今日は、靖国関係で纏めることにしよう
先日、友人に薦められた映画を観た…
トラックバック by 羇鳥何時帰空 — 2005年10月28日 23:09
総理の靖国参拝の持つ意義
小泉首相の靖国参拝についてはテレビや新聞で様々な報道がされていますが、最近、ブログや2chではマスコミ報道を批判する記事や保守系の論客が非常に増えています。これ…
トラックバック by 青い炎の日記 — 2005年10月29日 00:05
前原代表にガッカリ
首相の靖国参拝は中国韓国も思ったほど騒ぎにならず、中韓以外の諸外国などはほとんど話題にのぼっていないみたいで、日本国内でも、すっかり過去のものといった雰囲気です…
トラックバック by 青い炎の日記 — 2005年10月29日 00:07
小泉総理と靖国神社参拝
もう少し靖国参拝問題を引っ張りたいと思います。私はこれまで主にメリットがあるから靖国参拝すべきだと書いてきましたが、別にメリットがなくても内閣総理大臣は靖国参拝…
トラックバック by 青い炎の日記 — 2005年10月29日 00:09
潘外交通商相、総理の靖国参拝を批判
韓国の潘基文外交通商相が来日して、首相の靖国神社参拝を批判しています。
韓国の潘外交通商相 国立戦没者追悼施設の関連予算の計上を求める
【18:40】首…
トラックバック by 青い炎の日記 — 2005年10月29日 00:10
朝日新聞よ 日本国民を甘く見るな
朝日新聞社説 2005年10月28日(金曜日)付
{{{:
'''靖国と隣国 静かさを甘く見るな'''
…
トラックバック by きこりの生活 — 2005年10月29日 02:19
朝日新聞よ 日本国民を甘く見るな
朝日新聞社説 2005年10月28日(金曜日)付
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'''靖国と隣国 静かさを甘く見るな'''
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トラックバック by きこりの生活 — 2005年10月29日 02:20
靖国問題で政府答弁書決定 「戦犯」は存在せず 公式参拝であっ…
・政府は二十五日の閣議で、さきの大戦後、連合国によって「戦犯」とされた軍人・軍属らが 死刑や禁固刑などを受けたことについて、国内法上は戦犯は存在しないとの見解を…
トラックバック by IRIAS:Imagineallthepeople — 2005年10月29日 02:40
超党派議連総会ー新教育基本法骨子が採択
教育荒廃が叫ばれて久しいが、平成15年3月に中教審「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」の答申がなされて2年半が経っても、国会に…
トラックバック by 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN — 2005年10月29日 10:38
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トラックバック by 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN — 2005年10月29日 10:38
韓国外相帰国 『お土産は無しよ』
27日から訪日している韓国外相の潘基文氏。初日に町村外相との会談後、新たな追悼施設の建設を要求するも言質は取れず、翌日小泉総理との会談でも同様に参拝批判、追悼…
トラックバック by やじざむらい的日々雑感 — 2005年10月29日 11:22
東アジア「反日」トライアングル
<FONT SIZE=5 COLOR=BLUE>東アジア反日トライアングル</FONT>
<FONT SIZE=3 COLOR=…
トラックバック by 反日勢力を斬る — 2005年10月29日 11:52
愛国心とはなんぞや?
最近、靖国参拝にたいして、おかしな論調が、日本人のなかから出始めています。 それは、日本人の立場から、または、日本人であるのに、あたかも靖国参拝を政治のカード…
トラックバック by Merge Voices — 2005年10月29日 17:18
中国はやっぱり反日
今さら何を言っても驚きはしませんが、…
北朝鮮、国連総会の委員会で発表された人権状況に関する報告書を批判
Yahoo!ニュースより
>…
トラックバック by ☆独断雑記 XYZ — 2005年10月30日 10:03
各方面への緊急の警告
緊急の警告です! 11月1日の国会の最終日、衆院法務委員会で、共謀罪貌の強行採決が予想されます。 内閣改造で世間の目を陽動し、その隙に共謀罪貌をサプライズ…
トラックバック by 三輪のレッドアラート! — 2005年10月31日 00:12
特定アジア国と首相の靖国神社参拝
靖国神社への首相参拝に関して特定アジア国(もちろん中国と韓国のみのことです)の反応が出そろったようだ。韓国は国内での首相反対運動がそれほどの盛り上がりを見…
トラックバック by ikeday1な日々 — 2005年10月31日 07:06
靖国問題を作ったのは日本のマスコミ
10月17日、小泉首相が首相就任以来5度目となる靖国神社参拝を行った。
参拝当日の「NEWS23」で筑紫哲也氏が「人も国も相手が嫌だと思うことをでき…
トラックバック by たまには — 2005年10月31日 07:07
一兆円の中国貢献金
日本は黙って応じるべきではない。
正確に調査・判断し対応すべし!
遺棄化学兵器処理費 中国要求丸のみ巨額化
Yahoo!ニュー…
トラックバック by ☆独断雑記 XYZ — 2005年10月31日 11:18
自民新憲法草案発表 国民的議論の興起を
28日、自民党憲法調査会が新憲法草案を取りまとめ、発表しました。結党50年の節目の年を迎え、悲願であった憲法改正への動きが本格的にスタートしました。今回…
トラックバック by やじざむらい的日々雑感 — 2005年10月31日 12:13
自民党は保守と決別を表明した!
左翼化とアナーキズムへの傾斜を強める小泉翼賛党ですが、竹中平蔵氏の公式サイトには、とうとう自民党が保守層と決別すると言う予告までが掲載され始めました。 小…
トラックバック by 三輪のレッドアラート! — 2005年11月09日 08:16
靖国神社参拝問題(9)
「A級戦犯、あるいは、大東亜戦争というものに対する審判は歴史がいたすであろうとい
トラックバック by DVD Backup Guide Blog版 — 2005年11月10日 00:16
また加藤紘一と公明党が妄言
(画像クリックで拡大表示)
…
トラックバック by 陽光燦爛的日子 a diary of worldwalker — 2005年11月10日 18:00
中国が月の領有権を主張か
孔泉・報道官
中国が月の領有権を主張
中国外交部の孔泉・報道官は1日の定例記者会見で、先の神舟6号の有人飛行成功について触れ、「現在予定してい…
トラックバック by 陽光燦爛的日子 a diary of worldwalker — 2005年11月10日 18:00
日本を混乱させる勢力には、手痛い反撃を
「日本を混乱させようという勢力には、手痛い反撃を」 小泉首相
小泉首相は会見で、日米同盟について「抑止力維持」を強調。 日本を混乱させようとする勢力…
トラックバック by 陽光燦爛的日子 a diary of worldwalker — 2005年11月10日 18:00
『元』 が足りない
より高く
トラックバック by あさひ素材 社長ブログ — 2005年12月28日 23:45
首相イスラエル訪問強行 「心の問題」と
資料写真: 小泉純一郎と日本の病理 →この商品をAmazonでチェック 小泉首相は7日、13日までの中東歴訪中にイスラエルも訪れることを決…
トラックバック by bogusnews — 2006年01月07日 19:15
二階経産相が温家宝首相と会談
21日の日中与党交流協議会で、
中国側は小泉首相及び後継者に対して、靖国参拝しないよう要求したようです。
NHKニュースによると、
日本側は、中国側…
トラックバック by ☆独断雑記 XYZ — 2006年02月23日 12:33
「日本精神」こそ世界の指針1
PHP研究所が出している月刊誌「VOICE」の5月号に、「『日本精神』こそ世界の指針」という前台湾総統・李登輝氏の寄稿が載った。
導入部で、李氏は「…
トラックバック by ほそかわ・かずひこの BLOG — 2006年05月14日 09:45
与謝野大臣が、分祀を期待の発言
大臣が神社にコメントを入れて、それでも自主的な判断が出来るのでしょうか?大きな疑
トラックバック by 株で毎週5万円のお小遣いを目指す。税理士バッキーの日記帳 — 2006年06月04日 21:56
『昭和天皇の御意志』と所謂『A級戦犯』合祀 其の壱
日経新聞が、今年の新聞協会賞受賞ものの大スクープ(らしい)ネタを報道した。
トラックバック by 徒然なるままに@甲斐田新町 — 2006年07月21日 20:22